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続・インタフェースデザインの心理学 スーザン・ワインチェンク著 武舎広幸+武舎るみ+阿部和也訳

これからのデザイナーは行動科学者たるべし

想像してみてください。朝、目覚めたあなたはコーヒーをすすりながらヘッドホンをつけ、指なり手なりをササッと動かして、目の前に現われた画面を見つめ、新着のニュースや今日のスケジュールを確認します。さらに家を出て駅へ向かう途中では、すでに出社している同僚に電話をかけますが、これは右手で左腕をサーッとなでるだけでできてしまいます。

オフィスへ着くと、しばらくの間、没入型可視化システムを導入した部屋で作業をします。画面にデータが表示され、音が聞こえ、あなたが羽織っているチョッキや床からはパルスが発せられるので、あなたの無意識がこうした感覚データを処理して、決断を下していきます。これはそんなに遠くない未来の予想図――今後1、2年の間には主流になると思われる設備や手法の予想図です。

デザイナーにとっては最高の時代が到来しました。デザインできること、デザインすべきことが山ほどあるのです! ソフトウェアやウェブサイト、モバイル・アプリケーションはもちろんのこと、衣服やヘッドホン、ロボットといった形で人間がテクノロジーを使いこなすためのデザインも求められているからです。

テクノロジーは今なお成長と変化を続けており、人間の、人間に対する理解も飛躍的に深まりました。私が『100 Things Every Designer Needs To Know About People(邦訳:インタフェースデザインの心理学――ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針)』を出版したのは2011年のことで、同書では、デザインを行う上で人間について知っておくべき必須の情報を「100の指針」の形でまとめました。仮にあの時点でみなさんに「将来、さらに新たな100の指針をまとめて本を出すつもりがありますか?」と訊かれていたら、私はたぶん笑って「もちろんそんなことはありません!」と応えたことでしょう。

ところがこの4年間で、実に多くのことが達成されました。人間の脳と身体に対する理解が、テクノロジーの進歩に劣らぬ驚異的な速度で深まり、次のようなことが明らかになったのです。

以上6つのほかに94の驚くべき「新たな指針」を本書で紹介しました。

調査研究を重ね、この「新たな100の指針」をまとめる作業は非常に興味深いものでした。読者の皆さんにも面白く読んでいただけると思います。我々人間が今後2、3年間で何をどうデザインするのか、私は早く知りたくてうずうずしています。人間の自然な学習、仕事、思考、遊びのやり方に沿った製品や作品をデザインし創出する上で、どうぞ本書が皆さんのお役に立てますように。

2015年7月16日
米国ウィスコンシン州エドガーにて
スーザン・ワインチェンク